「てなわけでぇ」
「どーゆーわけだか・・・」
河合家の砂沙美の部屋のベッドの上。
そして、砂沙美と魎皇鬼。
いつものようにグレイトに眠くなったよい子たちがそろそろゴートゥベッドしようかな〜と思いつつでももうちょっと起きてたいな〜なんてちょっぴりアダルトな気分になったりしてでも明日仕事あるしーなんて実は休みなのにそんなこと言って飲み会の誘いを断る女の子みたいな事をおもっちゃったりなんかしていやんもう砂沙美ってばアダルトチックぅ十歳なのにぃきゃーはづかちーってな時間のはずなんだけども。
そこに何の前置きもなく、砂沙美が口にした言葉、「てなわけでぇ」、これから、何が何だかわかんなくなっていってしまった。いや、それまでも十分わけがわかんないような気もするが。
当然、魎皇鬼も何だか分からない。
沈黙。
「だからなんなのさもぉ」
もうねむいのになんやねんこのコはとか思いつつ魎皇鬼が言う。
「魎ちゃんて、何?」
唐突に、砂沙美が問う。
「はぁ?」
「だからぁ、最初に見たときにも猫かウサギかわかんなかったし、てゆーか、しゃべるし二本足で歩くしで、ど〜見ても地球の動物じゃないし」
「そんなのあたりまえじゃないか、ボクはジュライヘルムから来たんだかるふぁぁぁぁっ」
とか言ってあくび一発。
「あ、そーくふぁぁぁぁっ」
砂沙美もまけじと一発。眠いなら寝ろ。
「でもぉ・・・あ、そうか、てことは・・・」
おめめをごっしごっしとこすりまくりながら砂沙美がいう。
「魎ちゃん、ジュライヘルムの動物なんだ!」
「ちっが〜う!」
そう叫んで天井近くまで跳び上がる、世界新記録だ。
魎皇鬼の垂直跳びがギネスにのっけてもらえるかはともかくとして。
「ボクだって、こっちにくる前は人間の姿をしてたんだから!」
「うそだ」
コンマ二秒で否定された。
「ほんとだってば!」
「・・・・・・」
信じてもらえない魎皇鬼。ちょこっとほっぺたを膨らませたりなんかして、そのあまりの愛らしさに、砂沙美にむきゅ〜と抱き締められつつ。
「ほんとなんだよぉ、津名魅様に姿を変えてもらっただけなんだからぁ」
顔を真っ赤にしてへらへらわらいながら力説する。説得力皆無である。
「・・・・・・」
「むぅぅぅぅぅ・・・、ど〜しても信じないってのかい・・・」
ムキになってる魎皇鬼。あんまりムキになってるとハゲちゃうぞといいつつどっから頭髪か分からなかったりして。
「地球じゃ魔法の力が足りなくてちょっとの間しかなっていられないんだけど、特別に見せてあげるよ、ボクの本当の姿を」
そう言って、ベッドの下にぽぴっと降りる。
「べんとらべんとらべんとらべんとらりゅん」
呪文と同時に、魎皇鬼のからだが淡い光に包まれる。
・・・・というわけで。
「ふ、見るが良い、これは愚かなる地球人類に対する裁きの鉄槌りゅん!」
その光が少しずつ大きくなり、そして人型になっていく。
んでもって光が消え、そこには一人のギレン・ザビの・・・いや、えみ・・・もとい、少年の姿。
見た目は十二歳ぐらい、砂沙美よりも十二、三センチ背が高い。
服は・・・まあ、留魅耶と同じようなもんだと思ってくれ。
そんな感じの魎皇鬼だ、ハハハン。
「どう? これで信じてくれる?」
「・・・・」
砂沙美はなにも言わずに・・・
「・・・・くー・・・」
・・・寝てやがる。さすがよい子だ、もうおねむの時間だし。
「さ、砂沙美ちゃん? ・・・そんなぁ、地球でこの姿になると、こうして立っているのも辛くなるぐらい疲れちゃうんだぞ、砂沙美ちゃん・・起きてよぅ・・・砂沙・・・あ、意識が・・・・・もーだめ・・・かっふん」
ばたっ!
魎皇鬼、ダウン。
ACT1 ママと砂沙美と商店街
唐突だが次の日は日曜日。
いつもと同じ太陽が昇り、待ってましたとばかりに小鳥がさえずりはじめる。
そして、まだ街全体がまるで真っ白なヴェールをかぶっているかのような朝靄に包まれている中を、学校がある日は絶対に早起きしないくそガキ・・・子供たちが元気に走り回っている。子供にとってはものすごく大切な一日、一分たりとも無駄にはできない。
そんなお休みの日。
なのに。
砂沙美は、グレイトお寝坊さんだった。
魎皇鬼も、天地兄ちゃんも、お寝坊さんだった。
みんなを起こしたのは、ちひろママだった。
河合家、一生の不覚。
天地なんて、遺書をしたためたほどだ。
・・・したためただけだけどね。
「ねえねえマイ子供たち!」
「んー、なぁに? ママ」
「えぶりばでーみんな、ちょ〜っと表にでてみて」
十二時をおもいっきりすぎた頃、やっと起きてきた(正確には起こされた)砂沙美達が、おはようとかぐっもーにんとかいうよりまえに、ちひろママの先手必勝。
そして、表にでてみて〜とか言ってるちひろママの顔には、いたずらっ子の微笑み。
何かやりやがったな?
そんなことを思いつつ、とりあえずでてみようやないかいワレェ、と表に、つまりCDーVISIONの店先にむかう。
もちろん心の準備はバッチグーだ。
だが、バッチグーなんていってる間に、天地がとっとと外にでてしまった。
「一体何が・・・うおおおおおっ!」
その悲鳴を聞いて、慌てて砂沙美もぴゅぽっと一歩外に出た。
「なになに? どーしたの天地にいちゃ・・・うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
二人の悲鳴が商店街にこだまする。
だが、それを耳にした人たちはみんな驚きもしない。
うんうんやっぱりってカンジだ。
みんな知っているのだ、河合家、つまりCDーVISIONに何が起こったのか。
てゆーか、ちひろママが一体何をやらかしやがったのかって事を。
・・・みんな、被害者なのだから。
「うふふふ、おっどろいた?」
おどろいた。
天地や砂沙美、そしてご町内の皆様方を驚かせたちひろママの策略・・・イタズラか?
さて、一体何をしたのか、そりは・・・
「うふ、そっくりでしょ、このサミー人形」
そういうわけで等身大。
どんなわけだか等身大。
「す、すごい・・・」
と、天地。
天地が感心するのも無理はない、そっくりなんだから。
ほとんどガレージキットの世界だ。
ぷにぷにきゅ〜な顔、スペシャルろりろり体形、おめでたい服、すべてがパーフェクト。
そしてポーズはもちろん、「おっまかせ!」だ。
その表情やしぐさや膝小僧があまりに愛らしくて、天地はちょっとうっとり、ちひろママはちょっとうっかり八兵衛だ(意味不明)。
だが、砂沙美は。
「う、うわ、ちょ、ちょっとなに? これなに?」
・・・うろたえていた。
どういうことかというと、砂沙美は、そのサミーに、つまり砂沙美にそっくりなサミー人形を見ているうちに、こりゃやばい、この人形と自分とを見比べられたら、正体がばれるかも! って思っちゃったのだ!
「ええええと」
砂沙美とサミー人形、破壊的なほど似すぎていた。うりまっぷたつだ。
やばすぎるぜハニー。
砂沙美は考えた。そのキュートなピンク色の脳細胞で考えまくった。
もし、この人形のせいで、プリティサミーの正体が砂沙美だってばれちゃったら・・・。
・・・もう、この街にはいられない。
別に、正体がばれたからって、魔法が使えなくなるわけじゃないし、変身できなくなるわけ
じゃない、もちろん、砂沙美が旅にでなくちゃいけないなんて決まりもあるわけがない。
要は、何も変わらないのだ。逆に言えば、変わらないからこそ・・・。
「あ、プリティサミーの河合砂沙美だ」
「え? マジ? うわ! はっずかしー!」
「ぐはぁ」
ということになる。
「・・・い、いやすぎる」
だから、誰も砂沙美のことを知らない、そんなところへ行きたくなる、いや、行くしかない。
そう、行くしかないんだ。
ママとも、天地にいちゃんとも、美沙緒ちゃんともバイバイして、砂沙美は一人で旅にでます、ママ、今まで育ててくれてありがとう、天地にいちゃん、たくさんの愛をありがとう、美沙緒ちゃん、かけがえのない友情をありがとう、砂沙美達、離れてても友達だよね・・・
「あれぇ、そういえばこの人形・・・」
ぎくぎくっ!
「な、なあに、天地にいちゃん・・・(お、終わった、砂沙美の人生って・・・いったいなんだったんだろ・・・)」
「砂沙美にも似てるよなぁ」
「あら? そーいえばそうねぇ」
ちひろママも、そう言ってまじまじとサミー人形を見る。
「(ああ・・・砂沙美は、砂沙美は、今まで幸せでした・・・これからは・・・)」
「不思議なこともあるもんだなぁ」
「んー、砂沙美ちゃんとサミーって、姉妹さんなのかしら?」
「ははは・・・ ミラクルお馬鹿だなぁ母さんは、それじゃあサミーも母さんの娘ってことになっちゃうじゃないか」
「なーるほど! サミーもあたしの娘だったんだぁ! ふるるるるん」
「いや・・・そーじゃなくてね」
「(そう、そうじゃないの、ああ、砂沙美はもう・・・)」
「他人の空似ってやつだよ」
「・・・へ?」
悲劇のヒロインな自分に半ば陶酔しかかってた砂沙美ちゅわんを、砂沙美の心のなかにすんでいる目覚めの精霊、横綱犬北海のテッポウが、無理矢理現実に引き戻した。
「ほら、世の中には自分と同じ顔をした人が三人いるっていうじゃないか、砂沙美とサミーがそれなんだよ!」
天地のナイスボケ。
「へー、そーなの?」
「うん、じゃなきゃこんなにそっくりなの、説明できないじゃないか」
「あ、あのー・・・」
・・・どうやら本気でそう思っているようだ、天地だけでなく、ママや町のひともみんな。
「なんか、頭の中がへなへなぷ〜って感じ」
それが、天地(と他の皆様)のボケのせいなのか、それとも犬北海のテッポウのせいなのか、それは砂沙美には分わからないってゆうか分かってたまるか。
とある日曜日、世の中馬鹿ばっかりなおかげで助かった砂沙美ちゃんであった。
「う〜ん・・・」
その様子を物陰から見ていた一人の少女が呟く。
「あ〜んなに砂沙美ちゃんにクリソツなサミー人形をちひろママにプレゼントしたのに、みんな他人の空似と思い込むなんて・・・これも魔法の力なのかしらん、もう、いけずぅ」
この少女は何者なのか、そして、なにをたくらんでいるのか?
どうせロクでもないことなんだろうなーとか思いながら、次回へ続く。
あとがき(ってゆうかまだ途中だから作者のコメントって感じ)
いかがでしたでしょうか?
これは、96年12月に同人誌として発行した小説「FAKE!」の改訂版です。
改訂版といっても、ただ、もう一回読み直して、「このギャグはすべってるだろう」とか、「ここの言い回しはちょっと変だな」とか思ったところを手直ししたぐらいですが。
手直しする個所が見つかるってことは、僕の文章力が上がってるんですかねぇ・・・・・・
・・・・・・さがってるかも(笑)
というわけで、このお話はもうちょっと続きます。
続きを読めば、「FAKE!」というタイトルの意味も分かるでしょう。
これ、僕の書いた小説の中では、唯一タイトルに意味のある作品なんです、マジで。