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「FAKE!」改訂版 その2


 ACT3 兄と美沙緒と月曜日

 仮説その一 鷲羽ちゃんが、砂沙美とそっくりなサミー人形を作って、物陰からみんなの反応
       を観察していた。
 仮説その二 ミサが、砂沙美とそっくりな以下同文。
 仮説その三 え〜と・・・

 日曜日の昼の、あの人形騒ぎのとき、電柱に隠れて自分たちのほうを見ている怪しい人影を見ちゃった砂沙美は、夜、ふとんの中で、ちょっと考えてみた。
「・・・やっぱり鷲羽ちゃんかなぁ」
 考えたすえに出てきた仮説はふたつ。
「でも、ミサってのも・・・、う〜ん・・・」
 考えているだけでは仮説はいつまでたっても仮説のまんまなんだが、でも、どうしても考えてしまう。それはなぜか。
「ねむれないよう・・・」
 そう、お昼まで寝ていた砂沙美は、ねむれないのだった。
 そして、いろんなことを考えてしまうから、余計に眠れなくなる。
 眠れないから・・・。
「・・・あん☆ だめぇ・・・」
 
さっ、砂沙美! なにをしている!
 
 明けて月曜日。
 砂沙美は、早起きさんだった。
「・・・ね、ねむれなかった」
 だ、そうだ。
 そんなわけで、いつもより時間に余裕をもって朝ごはんを作れるのだ。
 目のまわりのクマでわかるように、別に目が覚めている訳ではない。
 だから、トーストと目玉焼きを作っていたら、卵かけごはんとミートせんべいが出来上がるというエクセレントな奇跡があったりした。
「で〜きた! ママ〜! 天地にいちゃ〜ん! ごはんできたよ〜!」
「ん〜、おはよー砂沙美」
「おはよー天地にいちゃん、・・・ママは?」
 バリボリと、ミートせんべいをかじりながら、砂沙美が聞く。
「ん・・・寝てるよ、昨日起こしてあげたんだから、今日は寝かせてって泣きながら歌ってたから、そのままにしてきた」
 ど〜ゆ〜理論なんだろうか。
「ん〜、ま、いっか、いっただきま〜す!」
「いただきま〜す」

 一方、ジュライヘルムでは。
「姉さん、姉さん!」
「ん? ああ、留魅耶か」
「留魅耶か、じゃないよ! 作戦がどーとか言ってたじゃない、どうすんの?」
「どうもこうもないでしょうが! ばばっとやってずばっとやっつけてびびっと締めてらっしゃい、いいわね?」
「・・・ばばっと・・・ね・・・」
 黒幕、裸魅亜の出番は、改訂版でも、これきりだったりする。
 だって、やる気なし夫くんなんだもん。まるでジャマイカ戦・・・あ、いや、なんでもない。

 再び、河合家。
 砂沙美も天地も、ちょうど出かけるところだ。
 ちひろママは寝てやがるので、念のためカギをかけて。
 そして玄関ていうか店先には、砂沙美には美沙緒が、天地には阿重霞と魎呼が、それぞれ迎えにきていた。
「おはよー! 美沙緒ちゃん」
「おはよう、砂沙美ちゃん」
 と言いつつ、砂沙美とは違う方向をちらっと見る美沙緒。そこには・・・。
「さあ、天地様、あたくしのリムジンで学校までお送りしますわ」
「な〜にがあたくしのリムジンだ、どーせお前の親父のもんだろうが! それより天地ぃ、あたしと一緒に歩いてこうぜ、手ぇつないでさぁ」
「いけませんわ天地様! こんな生き物の手なんか触ったら天地様のお手が腐ってしまいます。あたくしのリムジンなら安全に、快適に学校までお送りできますわ」
「だめだぜ天地! 車なんか乗っちまったら、どこにつれてかれるかわかったもんじゃねぇ! それこそホテルに連れ込まれて一巻の終わりだ!」
「ぬわぁんですって! あたくしはそんな下品な女じゃありませんわ、あなたと一緒にしないでちょうだい!」
「うるせーな! とにかくお前の車なんかに乗せるわけにはいかねえんだよ! なあ天地ぃ、あたしと行こうぜ」
「いーえ、天地様はあたくしと行くんです!」
 阿重霞に右腕を、魎呼に左腕をつかまれた天地がいた。
 その、男にとってはあまりに幸せな状況の中で、天地は・・・。
「いやぁ、ほら、なぁ・・・」
 ・・・あまりに優柔不断だった。
「もう、天地にいちゃんてば・・・行こう、美沙緒ちゃん」
「え? う、うん」
 砂沙美は、美沙緒の手をとって走りだし・・・たかったのだが、体の弱い美沙緒を気遣って、歩くことにした。
 砂沙美の手をぎゅっと握りかえした美沙緒の頬が、桜色に染まっていた。
(このまま、ずっと、手をつないで歩いていられたらいいのに・・・)
 そんなことを考えてみたりして。
 そして、ふとマイスイート砂沙美の横顔をみると、なんか、ぷんすかしていた。
「砂沙美ちゃん、ひょっとして怒ってる?」
「え?」
 砂沙美に何気なく聞いてみる。
「え? そ、そんなことないよ。昨日眠れなかったから、疲れちゃってるし、月曜日だし、えと・・・だから・・・い、いつもより元気じゃないかもしれないけど・・・」
「私、天地さんをとられちゃったからおこってるのかなって・・・」
 ざくぐさざくっ!
 美沙緒の鋭い一言が、砂沙美のちっちゃくてラブリーでキュートでいやんもうまいっちんぐな胸をえぐりぬいた。
「は、はは・・・、何いってるの美沙緒ちゃん。そんな、お兄ちゃんとられたぐらいで怒るわけないじゃない、砂沙美もう子供じゃないんだし」
 子供だ。頭の先から膝小僧まで、どっからみてもお子様だ。
 ちなみに足首は、なぜかルーズソックスをはいてるので今日はバツ。
 なげかわしい。
「そうなの?」
「そうなの!」
 そして二人は手をつないだまま、また歩き出した。
 美沙緒にとって、幸せなひととき。
 そして、しばらくしてから・・・。
「ねえ、砂沙美ちゃん」
「なぁに?」
「・・・あたしと天地さん、どっちが好き?」
「え? そ、そんな・・・、くらべられないよぅ、二人とも大好きだもん!」
 顔を完熟トマトのように真っ赤にして、大好きを強調する砂沙美を見て、美沙緒は、くすっ、と微笑む。
「あたしも、砂沙美ちゃん、大好きだよ」
「う、うん、ありがと、美沙緒ちゃん」
(二人とも・・・か。天地さんにちょっと嫉妬、かな☆)
「え? なにか言った?」
「あのね、砂沙美ちゃんを独り占めしたいな、って」
「え? だって、今、美沙緒ちゃんと二人だけだよ?」
「そうじゃなくて、あの・・・ちょっと、耳、かして?」
「え? う、うん」
 ・・・・・・・・ぼそ・・・。
 ふと立ち止まり、小声でささやく美沙緒。
 途端に赤面する砂沙美。
「や、やだ美沙緒ちゃん、そんなのダメだよぅ、砂沙美たち、まだコドモだしぃ」
「あ、砂沙美ちゃんウソついた。さっき子供じゃないっていったのに・・・ぷんぷん」
「あ、ごめん美沙緒ちゃん、怒らないで」
「ぷんぷん」
「あう、だって、美沙緒ちゃんが変なこと言うんだもん」
「ぷんぷんぷん」
「あーん、許してよう・・・」
「ぷんぷん。今日の給食、私の嫌いな酢豚なんだけどな・・・」
「・・・わかったよう、美沙緒ちゃんのぶんも食べてあげるからぁ」
「ほんと? わーい、砂沙美ちゃん大好き☆」
 ちゅっ!
「・・・・え!?」

 
 そんなこんなで。
 学校についたんだけれども。
 教室にはいった砂沙美たちは、とりあえず時間がないんだなーと直感した。
 なぜなら、先生がいたから。
 やばいっス。
 一時間目、始まってるっス。
 まあ、ちょっと走ったせいで肩でゼイゼイと息をして、しかも顔が真っ青な美沙緒と、寝不足な状態で走ったせいで頭がボ〜ッとして、さっきの「ちゅっ!」のせいで顔もボケ〜ッとして、しかも酸欠になっている砂沙美を見て、廊下に立ってろなんて言える先生はいないだろうが。
 そんなこんなで、命の危険を感じた砂沙美は、失った体力を回復させるため、急遽スリープすることにした。
 美沙緒は・・・いつものことだから大丈夫らしい。一時間目が終わる頃には普段の美沙緒に戻っていた。
 そして砂沙美は・・・。
「砂沙美ちゃん・・・一時間目、おわっちゃったんだけど・・・」
「く〜・・・」
「河合さん! 起きなさい、授業中ですよ!」
「く〜・・・」
「砂沙美ちゃん・・・次・・・体育なんだけど・・・」
「く〜・・・」
「あの・・・砂沙美ちゃん・・・給食・・・」
「く〜・・・」
「・・・・砂沙美ちゃんの、うそつき」
 砂沙美は、放課後まで爆睡しつづけた。

 まだ、つづく


作者コメント

 ああああ・・・、なんてこった。これじゃ砂沙美と美沙緒のSSになってしまう(笑)
 しかもショートじゃなくてスイートだぁ(爆)
 ちょこちょこと直しただけじゃぁ、もとの「FAKE!」読んでた人に申し訳ないと思って、途中から書き下ろしたのがいけなかった。
 このままでは全く違う話になってしまうと思って、急遽、もとの文章につなげたんですけども、なんか、給食の話がうまく絡んだんで、結果としてはよかったのかなぁ、と。
 えと、掲示板でいいんで、できれば感想、書いてってくださるとうれしいっす。
 それから、もし要望が多ければ、砂沙美&美沙緒のSS路線でいっちゃうかもしれません。書いててすっごくおもしろかったんで。


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