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and then……
「ん……」
朝――
「おはよう、フェイト」
カーテンの隙間から差し込む光に急かされて薄目を開けると、そこにはアルフの顔があった。
「ん、おはよう、アルフ」
「朝ごはん、できてるよ」
「ありがと」
あの後――
私がミッドチルダに移送されてから、もう何日経っただろう。
その間、刑が確定していないとはいえ重犯罪人である私は、本来なら拘置所に入れられているはずなのに、こうして家を与えられ、ベッドで寝起きし、監視付きながらも普通に生活していられる。
しかも、その監視役は――
「おはよう」
「おはようございます。クロノ・ハラオウン執務官」
「クロノでいいってば。……っと、これで定時の報告は終わりだ、後は好きにしてくれていい。もちろん、外出する場合は僕の許可と同行が必要だけどね」
「はい」
私と、そしてなのはがお世話になったクロノ・ハラオウン執務官。
私の監視役はそのクロノ執務官で、そして、毎日がこんなふうに、朝の報告――というか顔合わせが済むと、後は自由。
クロノ執務官の尽力で、刑が確定するまでの間、私はある程度の制約は受けながらも、アルフと一緒にこの家で待機ということになった。
そして今日も、穏やかな一日が始まる――
「……と言いたいところだけど、フェイト・テスタロッサ、今日はひとつ連絡事項がある」
「え?」
――はずだったのだけど、いつもは挨拶だけで済んでいた定時報告に、今日は続きがあった。
いつもと違う事務的なクロノ執務官の声。
自然と、室内に緊張が走る。
「実は、もう僕の許可や監視は必要なくなった」
「どういうことだい? まさか……」
アルフがクロノに詰め寄る。
「待て待て、悪い意味でじゃない。……フェイト・テスタロッサ、本日付で、君の身柄は保釈になった」
「……え?」
「ミッドチルダ内においての君の行動には、もはや一切の制限はない」
唖然としている私の顔がおもしろかったのか、クロノ執務官はクスッと笑い――
「大変だったんだからな。頭の固いお偉方を説得するのは。でもいい弁護士を見つけられたし、僕も僕なりに理屈こね回して、最後には精神論でなんとか論破した。ほぼ無罪確定ゆえの特例としての保釈だ」
筒状に丸めた命令書で肩をポンポンと叩きながら、悪戯っぽくクロノ執務官は言った。
「ありがとう……ございます」
「それともうひとつ」
そう言って、クロノ執務官は一枚の書類を私に渡した。
「これは?」
「保釈後は、正規の手続きを踏んで、監視役である僕が同行すれば、短期間なら国外への旅行も可能になる」
「……え?」
「今渡したのがその書類。必要事項は記入してあるから、あとは君と僕がサインすれば国外旅行申請書の完成だ。海鳴行きのね」
「あ……」
「会ってくるといい」
「とかなんとか言っちゃって、なのはに会える大義名分が出来て、あんたも嬉しいんだろ」
「そ、そんなことはない!」
「あはは、照れちゃって、かわいいねぇ」
「ふふ……、アルフ、だめだよ、そんなこと言っちゃ」
と、私が笑うと――
「まったく、君って子は」
クロノ執務官が溜息を付いた。
「ここに来てからあまり笑わないから心配してたのに、なのはに会えるとわかった瞬間に、いままででいちばんの笑顔を見せるとはね」
やれやれと、大げさに驚きつつも私の書類を受け取り、同行者欄に『クロノ・ハラオウン』と記入する。
「クロノ、あんたなにクサいこと言ってんだい。……まさか、なのはだけじゃなくフェイトまで狙ってるんじゃないだろうね!?」
「違うよアルフ。クロノはなのは一筋だよ。ね?」
「やっと役職抜きで呼んでもらえたと思ったら……、勘弁してくれ」
私とアルフの二人相手じゃ分が悪いと思ったのか、クロノは「じゃ、明日には受理されるから」と言い残して、書類を抱えて逃げるように去っていった。
「海鳴かぁ、あの子達、元気にしてるかねぇ」
「そうだね、ひさしぶりだ……」
海の町で出会った純白の魔法使い――
はじめて『ともだち』になってくれた君に――
もうすぐ、会いにゆくよ、なのは……。
あとがき
後日談です。
いつまでも部外者として毛嫌いするのもアレなので、ちょっとフェイトに向き直ってみました。
『リリカルなのは』のキャラとしては未だに認めがたい部分はありますが、それでもこの子は都築さんが生み出した子で、そのハートを受け継いでいるわけですよ。
そんな優しい子なので、「こうなってほしいな」という話を書いてみました。
3月のとらいあんぐるパーティー外伝では、このお話を踏まえて、なのはと再会するお話でも書きたいなと思ってます。
ただ、4月に出るサウンドステージ03が後日談らしく、そうするとネタがおもいっきりかぶるっていうか矛盾が生じる可能性があるので、どうしようかなーというのがありますけどね……。
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