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「えーと、肉まんを6つ!」
「ありがとうございましたー」
店員のそんな声を聞きながら、あたしはコンビニを出た。
「……おまえ、いくつ買ったんだ?」
「いくつだっていいでしょ。はい、祐一のぶん」
外で待っていた祐一に、肉まんをひとつ渡す。
「ん、じゃあ行くか」
「うん」
祐一と出会ってから2回目の冬。
まだ雪の残る商店街を、二人並んで歩く。
「おいしい」
……と、ひとつめの肉まんを食べ終わる頃――
「……なによ?」
祐一が、あたしのほうを見てニヤニヤしているのに気がついた。
なんか気になる……。
「なんか言いたいことでもあるの?」
「いや、昔は俺の後をこそこそつけてたお前が、今は隣にいるんだなーと思ってな」
「なによそれー!」
「かわいくなったなーってことだよ」
「…………………」
「お、赤くなった」
そう言ってケラケラ笑う。
……こいつ、あたしをからかって遊んでる。
絶対そうだ。
ちょっとドキッとしちゃったのがすっごいくやしい!
「真琴?」
くやしいから無視。
肉まんを頬張りながら、無言で歩きつづける。
「真琴ー」
無視無視。
「真琴、いっぺんに食ったら太るぞ」
「………………」
「マコトがマブタになるぞー」
……………………。
「もしくはマトンだな。…あ、マトンは羊か」
………………………。
きぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!
ムカつくムカつくムカつく!
もう祐一なんか知らない! とっととうちに帰る!
「待てよ真琴」
「なによ!」
走り出そうとした瞬間、祐一があたしの腕をつかんで引き寄せた。
「きゃっ!」
引っ張られた勢いで、祐一の胸に突っ込んでしまった。
「なに怒ってんだよ」
「怒ってなんかないもん」
見上げると、祐一の顔がすごい近くにあって、
「それが怒ってるっていうんだよ」
「怒ってないって言ってるでしょ!」
祐一の体温を感じて、
「まったく、マブタがそんなに気に障ったか?」
「怒ってないってば!」
ドキドキが止まらなくて……
「顔に出るんだよお前は」
「……わ」
祐一が腕を回して、あたしを抱きしめる。
「ま、そういうとこが好きなんだけどな」
「あうーっ」
「久しぶりに聞いたな、それ」
「離してよぉ」
バタバタと暴れたけど、祐一は離してくれそうにない。
「嫌か?」
嫌じゃないもん。照れくさいだけだもん。
「俺はしばらくこうしてたいんだけどな」
あたしもそうしてたいけど、でも、ドキドキで心臓がどうにかなっちゃいそうだよぉ……
「あうーっ」
もう逃れられそうにないから、出来るだけ祐一の顔は見ないようにして、おとなしくする。
「真琴」
「なによぅ」
そっぽをむいたまま、ぶっきらぼうに答える。
でも、さすがに照れ隠しなのはバレちゃったみたいで、祐一は優しく微笑んでから、あたしの耳に口を近づけて――
「大好きだよ」
と、一言。
「………ば」
「ば?」
「馬っ鹿じゃないの? ほらさっさと帰るわよ! 腕離して!」
「はいはい」
と、祐一が腕を緩め、あたしはそこからするっと抜け出し、走り出す。
「真琴ー、俺はまだ返事を聞いてないぞー」
後ろから聞こえてくる声に、くるっと振り向いて――
「ばーか!」
そう言ってあっかんべーしてから、また走り出す。
そう、『あたしも大好き』は、まだ言ったげない。
祐一が、「愛してる」って言ってくれるまで……。
あとがき
ちうわけで、リクエストがあったので真琴SSです。
掲示板でも書いたとおり、真琴はあんまり好きじゃない(嫌いでもないですが)ので、かなり難航しましたが。
友人に、ちゃんと真琴になってるかどうか見てもらったりもしましたが、いかがでしょうか? 的外れになってなければいいんですが。
重ね重ね言っておきますが、僕は甘々作家ではありません、ギャグ専門ですので(笑)。
たまにこういう甘いのを書くと楽しかったりはしますが(爆)。
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