「ありがとう、わかってくれて……」
事故で亡くなった女の子。
でも、自分が死んだという事がわからず、自縛霊になりかけていて……。
だから、私が呼ばれたわけで。
相手が小さい女の子ということもあって、まともに話が出来ない場合は、最悪の事態――斬る――も覚悟していたのだけれど、なんとか話を聞いてくれて、そして、眠ってくれた。
「那美、おつかれ」
久遠が駆け寄ってくる。
「お待たせ、久遠。帰ろうか?」
「うん」
と、二人で歩き出そうとした時、街頭の下に、見知った人影を見つけた。
「お疲れ様です」
「恭也さん?」
「寮に電話したら、愛さんが場所を教えてくれたんで」
「ひょっとして、迎えに来てくれた……とか?」
「まあ、そんなとこです」
視線をそらして――それは照れてる時だよ、と美由紀さんが言ってたっけ――答える。
「それと、これ」
と、恭也さんが持っていた包みを差し出す。
「仕事だって聞いて、おにぎり作ってきたんです。よかったらどうぞ」
「あ………」
「……? どうかしました?」
「あ、いえ、その、前に薫ちゃんから聞いたことを思い出しまして」
「薫さんから?」
「はい、薫ちゃんがまださざなみにいた頃、仕事の時は、いつも耕介さんがおにぎりを作って持たせてくれた、って。それがすごくおいしかったって」
「へえ……」
「それでですね、私がさざなみにきた時、密かに楽しみにしてたんですけど、いざもらってみたら、ごく普通の味でして」
「はぁ……」
「だからもしかして、って……」
と、恭也さんから包みを受け取り、おにぎりを一口食べてみる。
わずかにきいた塩味、中身は鮭、海苔もご飯も普通。
でも……。
「………、おいしいです、すごく!」
「あ、いや、耕介さんには遠く及ばないと思いますけど……」
そう言う恭也さんの言葉を遮るように首を振り――
「そんなことないです!」
――と、一息ついて。
「料理でいちばん大切な調味料って、なんだか知ってます?」
「え?」
一瞬わけがわからず、きょとんとする恭也さん。
それは、耕介さんに言われたこと。
いちばん大切な調味料。
――それは、愛情。
「前に耕介さんが言ってたんです。作るほうだけじゃなくて、食べるほうもそれを振りかけることで、相乗効果で物凄くおいしい料理になる、って」
「ええと、よくわからないんですが」
◇
「まったく、那美の奴、なんて回りくどい告白を……」
「我が妹ながら、歯がゆかです」
「恭也の朴念仁ぶりもおもしろいね」
「真雪〜、リスティ〜、せっかく久しぶりに薫が帰ってきたのに、最初にすることが出歯亀ってのは……」
「陣内、静かにせんね」
「あう〜……」
あとがき
1万ヒット記念のとらハ3なのですが……
なんなのだ? ってのが書き終えた後の正直な感想でしょうか。
当初の予定では、すでにカップルさんになっている恭也と那美が、ラブラブしながら一緒に帰るお話を書くつもりだったんですが、気がつけば那美は告白っぽいこと言ってるし(要はまだ付き合い始めてない)、真雪たちは出てくるしで、全く違うものが出来あがってしまいました。
なんだろう、陰で暗躍する耕介、って感じ?(笑)
って、どーして2のキャラたちがでしゃばってくるのだ?
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