戻る
剣と魔法
青く澄んだ空。
どこまでも続くその青さの中、海からの心地よい風に抱かれながら、フェイトはなのはと再会した。
公園の中央にある、聖母を思わせる穏やかな笑みを浮かべた彫刻の前で、二人は見つめあい、そして――
「フェイトちゃん、バルディッシュが曲がっていてよ」
「え?」
ガチャ、ガチャ……
「これでよし、と」
「あ、ありがとう……」
「thank you」
「身だしなみはきちんとしなきゃね」
そう言って、フェイトとバルディッシュに微笑みかける。
そして――
「フェイトちゃん、これ、受け取って」
「ちょ、ちょっと、なのは!」
唐突に、なんの脈絡もなく、なのはが背負っていたリュックのポケット、通称『ユーノ君ライドオンスペース』からユーノを引っ張り出し、フェイトに差し出す。
「姉妹の証だよ」
「え、えと……」
「わたしの妹になるのは、嫌?」
「ううん、嫌じゃない。お姉さん、ずっと欲しかった」
そう言って、ユーノを受け取る。
「あー、二人とも。なにがなんだかわからんのだが、ペットを軽々しくやり取りするのはどうかと思うぞ」
「ペットじゃないよおにーちゃん。これは姉妹の証。いわばロザリオ」
「……十字架と生き物を一緒にしないように。とりあえずこいつは俺が家につれて帰っとく」
なんとなく口を出した恭也であったが、まともに相手しても疲れるだけだと思ったのか、そう言ってユーノをつまみ上げて、没収―トという手段をとった。
んが――
「……そう、おにーちゃんはわたしとフェイトちゃんがスールになることを認めてくれないんだ」
そんな恭也を、なのはは悲しげな瞳で見上げる。
「あんなに一緒だったのに」
「なのは、どうしたお前……」
「夕暮れはもう違う色なんだね」
「ちょっと待てなのは、何を言って……、そういえば、朝台所にカクテルの空き缶があったが、まさかお前が間違って飲……」
「わかった。じゃあわたしにフェイトちゃんを守る力があるってことをみせてあげる」
「だから待てって。俺の質問に……」
「レイジングハート!」
「set up」
兄の前でバリアジャケットに身を包むなのは。
「恋も魔法もなのはにおまかせ! 魔法少女リリカルなのは、お呼びでなくても即参上!」
「なのは、それ違う。作品のコンセプトは似てるけど別の人」
そして、収拾不能なそんな状況に、フェイトはどうしていいかわからず、ただぼーっと状況を見ていた。
恭也はというと――
「くっ! なにがなんだかわからんが!」
魔力は感知できないものの、気配でそれを『ただならぬもの』だということは理解できた恭也が、妹を傷つけるためにではなく、あくまで自衛のために両手に小太刀を構える。
「おのれおにーちゃん、両刀だったか!」
「二刀だっ!」
「恭ちゃんが両刀……」
「そこっ、ウケすぎ!」
一緒に公園に来ていた美由希に突っ込みを入れつつ、小太刀を逆に――みね打ちに――構えなおす。
「レイジングハート、シューティングモード! 行っけぇぇぇぇっ、ディバインバスター!」
「う、うわぁぁぁぁっ!」
レイジングハートから発せられた砲撃を、人間の限界を超えた速さで避ける恭也。
「至近距離からなんちゅー物騒なもん撃っとるんだ! 神速で避けなかったら死んでたぞ!」
「だいじょぶ! 光にはならないから!」
「会話しろっ!」
「問答無用! レイジングハート、シーリングモード! 封印!」
「うわっ! ……ってお前いま物騒なこと言っただろ! このッ!」
「プロテクション!」
「なに!?」
なのはを気絶させようと放った恭也の虎切は、あっさりとシールドで防がれた。
そしてそれから――
なのはの攻撃を、恭也が御神流奥義・神速でかわす。
恭也の斬撃を、なのはがシールドで防ぐ。
フェイトが呆け、美由希がころぶ。
ただひたすらにそれが繰り返され、海鳴公園はもはや阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。
「だから、話を、聞けと!」
「フェイトちゃんは渡さないんだからっ!」
「渡さんでいい! てゆーかそんな話じゃなかっただろーが!」
と――
戦いが――というか会話が――平行線の一途をたどり、千日戦争の様相を呈していたころ、『それ』は唐突に現れた。
「あ……、あれ?」
「ぐ、ぐあっ……」
なのはの魔力が底を尽き、神速の連続使用で恭也の膝が悲鳴を上げ、そして美由希がころんだ。
「フェイト、今だ!」
「え?」
「なのはを止められるのはフェイトだけだ!」
「わ、わたし……?」
「早く!」
「う、うん、やってみる」
ユーノに促され、バリアジャケットに身を包む。
「……えと、バルディッシュ、リバースハンドモード」
「yes sir」
そして、魔力切れと疲労で動けないなのはに近寄り――
「え、えーかげんにしなさい」
バルディッシュの魔法裏券突っ込みでなのはの体内のアルコールを中和し――
聖戦は、終わりを告げた。
◇
「最終的にさ」
「ん?」
「なのはは酔ってたときの記憶ないし、体にも異常ないみたいだから、恭ちゃんだけが無駄に膝悪化させただけなんだよね」
「言わんでくれ」
海鳴中央病院にて。
結局古傷が再発して歩けなくなってしまった恭也は入院ということになってしまい、一人ダントツで貧乏くじを引いた形になった。
「……ねえ恭ちゃん、これなに?」
「は?」
「これ、膝のギプスの」
「ああ、フェイトが書いてくれたんだ。回復が早くなる魔法文字とか何とか。まあおまじないみたいなもんだろ」
「へぇ、……、じゃあこのキスマークもおまじない?」
「はぁ? フェイトは口紅なんかつけてないんだからギプスに跡が付くわけないじゃないか。それにそもそもおまじないのキスしてくれたのはほっぺであって……」
「語るに落ちたな高町恭也」
美由希のメガネがきらりと光る。
「しまった……」
「最近フェイトちゃんの様子が変っていうか恋する乙女の顔になってるから怪しいなと思ってたんだけど……」
「ま、まて……」
「なのはの友達に手を出すような変態色魔の膝は、完膚なきまでに粉砕したほうが世のためだよね?」
「だから待てって! 病院で小太刀を抜くなっ! そもそもそんなもんで切られたら粉砕どころか脚無くなるだろうが!」
「じゃあその方向で」
「どの方向だぁぁぁぁっ!」
どうやら貧乏くじではなく死神のくじを引き当ててしまったようだが――
まあなんにせよ。
海鳴市は、今日も平和です。
あとがき
何書いてんだ俺orz
とりあえずね、「バルディッシュが曲がっていてよ」を思いついちゃったのと、リリカルなのは対高町恭也が書きたかったってのがあって試しに書いてみたんですが……
後半滅茶苦茶っていうか昔のサミーのSSみたくなっちゃった……
そしてなんとか軌道修正しようとがんばったらさらにおかしなほうに行ってしまったらしく、俺の中に『フェイト×恭也』というカップリングが生まれそうな予感(ぇ
これ、別館じゃなくて本館に載せるSSだよなぁ……
掲示板へ
トップに戻る