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Song for you


『ただいま、耕介くん』
 その思いを込めて、その思いだけで、うちは3時間のステージを歌い上げた。
 ホントは、幕が開いて、最前列に座ってる彼を見つけた瞬間に、ステージから飛び降りて抱きつきたかったんやけど、そこはもう大人なゆうひさんや、ぐっとこらえて、そして――他のお客さんには申し訳ないけど――耕介くんのためだけに、あの歌を、歌った……。
 耕介くん、涙ボロボロ流しとったなぁ…、隣のお客さん、不思議そうな目で見とった。
 でも――
「ゆうひ!」
 声が聞こえ、ドアが開き、そして、そこには大好きな――
「耕介…くん……」
 わかってた。
 あのときはステージだったから、プロの歌うたいのSEENAだったから大丈夫やった。
 でも今は、楽屋にいる椎名ゆうひは――
「耕介くんっ!」
 我慢なんか、できへんって。
「ゆうひ……」
「会いたかった、会いたかったよぉっ!」
 耕介くんの胸に飛び込み、人目もはばからず大泣きする。
「おかえり、ゆうひ」
 そんな泣きじゃくるわたしの肩をそっと抱いて、耕介くんも目に涙をためながら、でも優しく微笑んでくれた。
「うち…、うちな、耕介くんがいるから、耕介くんが待っててくれるから、がんばれてん…。どんなに怒られても、失敗しても、この日のために…。プロになって、ステージで歌うて、そしてこうやって、耕介くんに抱きしめてもらいたくて……」
「ゆうひ……」
 気を利かせてくれたのか、いつのまにか楽屋からはうちら以外誰もおらへんようになっていた。
 だから……
「……ん」
 3年ぶりの、キス。
 それは、あったかくて、甘くて、3年間がんばったうちへの、なによりのご褒美のように思えた。
「ゆうひ、会いたかったよ、俺も」
「耕介くん……」
「約束…」
「え?」
「受け取ってくれるよな」
 耕介くんがポケットから小さな箱を出し、開く。
 そこには、蛍光灯の光を受けてキラキラと輝く、アレキサンドリアン・サファイアの指輪があった。
 だけど――
「いやや、忘れた言うたくせに」
 耕介くんの腕からすり抜けて、つん、とそっぽを向く。
「お、おい、拗ねないでくれよ…」
 と、彼の困ってる顔を見て、くすっと笑う。
「ゆうひ?」
「これでおあいこや」
 と、自分の左手を差し出す。
「ゆうひ……」
 耕介くんも、くすっと笑って、そして、うちの薬指に、そっと指輪をはめてくれた。
「よく似合ってる」
「……ありがとう、うち、めっちゃ嬉しい……」
 さっきのキスもごっつ嬉しかったけど、これは、また、格別や。
 自分の薬指の指輪を、しばらく眺める。
 綺麗や、めっちゃ綺麗や。嬉しゅーて綺麗で、もう最高や。
「耕介くん」
「ん?」
 そんなうちの様子を楽しそうな顔で見ていた耕介くんの顔に、指輪のはまった薬指を近づける。
「もう絶対外さへんで、覚悟しいや」
 そう言ううちに――
「おう、望むところだ」
 耕介くんは笑顔で答え、そして、もう一度キスしてくれた。


「ゆうひ、しばらくゆっくり出来るんだろ?」
「うん、1週間オフや。そのために、1日2時間睡眠でがんばったんやで」
「えらいえらい」
 帰り道、スーパーで夕飯の買い物をして、うちたちはさざなみ寮への帰り道を歩いていた。
 ……そう、『帰り道』を。
「楽しみやー、知佳ちゃんらは大学生なんやろ? アダルトになっとるんかなー」
「ははは……」
「もう3年経ったんやもんなー……」
 と、ふと足を止め、耕介くんの方を向く。
「ゆうひ?」
「耕介くん…」
 ちゅっ。
 と、今度は自分からキス。
「耕介くん、ありがとう、待っててくれて」
「ゆうひも、ありがとうな、ずっと俺のことを好きでいてくれて」
 そう言って、二人で顔を見合わせ、笑う。
『そんなのあたりまえやんか、お礼なんて言うことないない』
 二人の笑顔が、そう言っていた。


 


 あとがき

 うはー、ゆうひ最高やー! めっちゃかわいいでぇ〜!!(すいません壊れてます)
 えー、プレイ当初は美緒か知佳ぼーだなーと思ってたんですが、おもいっきり予想が外れました。ゆうひ萌えです。ていうか恋してます(爆)
 まだクリアしてない子がいますんで最終的にどうなるか分からないんですが、とりあえず、あまりにも感動しまくったんで、予定そっちのけで、勢いに任せて書いてみました。
 ええと、このお話は、ゆうひのEDのコンサート後から始まり、最後のCGの、二人でさざなみ寮へと向かうシーンに繋がります。
 どうでしょう? 甘いですか? 僕は、初めて、自分で小説書きながら涙ぐんだんですが(苦笑)
 あ、ちなみに、アレキサンドリアン・サファイアとは、6月1日(ゆうひの誕生日)の誕生石らしいです。
 どういう石かは分かりません(ぉぃ) とりあえずアレキサンドライトとは違うようですが。
 6月の誕生石は真珠なんですが、どうやらそれとは別に、366日それぞれに誕生石があるようで、そっちを使ってみました。まあ、サファイアのほうが語呂的にかっこいいな、っていう理由だけなんですが。結果的に、わざわざ6月1日の誕生石の指輪を用意するっていう耕介のキザっぷりがいい味出してるかなと。
 そんな感じで、次は今度こそ栞か香里姉さんのSSを……。


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